S・KとT・Mの交渉〜インストラクター・Nへの鬱積をボールに乗せて〜

「T・M、のち五球で俺とスイッチ。こういう剛腕児、どうにかして」
「ヘイヘイ」
 S・Kは一度火が張り付くとどうも止まらない出来栄えらしき。
「S・K、もってのほか。マサとスイッチ」
 俺はグローブを外してT・Mに引き取りた。左側は真っ赤に腫れ上がっていた。
「アイツの球は一般じゃない。ゼロ球ゼロ球瞳を逸らすな」
 俺が助言するも、T・Mは近くでその球速を体感していたせいでストレスから洗いざらいと顔が強張っていらっしゃる。
「私の折より意識徐々に投げてあげてね」
 俺は呼ぶように言った。
 S・Kはグラブを高所にかざしておる。通じただろうか。
 S・Kは球速を止めるも、断然T・Mの見落としが際立つ。
「T・M、右側も使ったほうがいいよ」
「うるせーな。分かってるよ、そのぐらい」
 案外T・Mはは負けず嫌いだった。
「T・M。学園はどうしてよ?自身らは此度、農作業でくたびれ果てたよ」
「学園は円滑です。畑は、二度と慣れたか?」
 常々、面白敬語ばかり並べるS・Kのタメ口には違和感があった。そう言えばこういうカップル、同い年だったか。
 俺には、カップルが仲良くやってくれているのはうれしい誤算でもあった。こんな微笑ましい伝達は日没まで続いた。